2013年08月13日

コミックマーケットの経済効果を本気で試算したら・・・コミケ1回で何と500億円以上の経済効果だった。

日本最大(というか世界最大)の同人誌即売会「コミックマーケット(コミケ)84」が最終日を迎え、参加者が3日間で過去最高の約59万人に達したことが明らかになりました。

そこで本日は、コミックマーケットの経済効果というものを、少し本気で試算したいと思います。
彼らがマンガやゲームのオタクなら、私はマネー情報のプチ「オタク」なので。

・・・まずは基本から。一般に経済波及効果は以下の計算式で求められます。
経済波及効果 = 直接効果 + 間接効果(1次波及効果 + 2次波及効果)

直接効果とは、コミケ参加者による経済活動のこと(会場の内外は問いません)。間接効果とはコミケ参加者以外の経済活動の事を指します。それぞれ計算していきましょう。
※前提として、コミケ開催は3日間、参加者は60万人(スタッフ・サークル・一般参加の合計)と仮定します。

<コミケ開催による直接経済効果の試算>
直接効果=「コミケ参加者による最終消費」。具体的には“主催者の開催費用”と、“参加者の会場内外における消費活動”を指します。

【コミケ開催事業費】6億円
同準備会はコミックマーケットの収支報告を公表していないため正確な金額は不明ですが、「概算として5〜6億円」と言う以下の公式回答から、6億円を開催費用としました。

「コミケット開催時の収支は?公開しないのはなぜ?
毎回5〜6億程度の支出。サークル申し込み代金では賄えず、カタログ代捻出で少々の赤字。カタログ広告費用などでもつらいとのこと」
A@comicmarket 2005『コミックマーケット拡大会議レポート』より。

(引用元)コミケ主催には6億円必要。コミケの経済効果は100億・・・【にししふぁくとりー】
http://www.nishishi.com/blog/2005/12/comiket_economi.html

【会場内における参加者の消費】144.7億円
コミケ参加者が会場内で同人誌・同人アイテムを入手する費用を、男女別に算出します。
なぜ男女別にするかというと・・・『コミックマーケット35周年調査報告』によると、サークルスペースでの平均支出には男女差がありまして、男性参加者の平均が2万8400円。女性参加者が2万1800円の支出となっているためです。
同資料によると参加者の男女比率は、男性35%、女性65%となっていますから、

・男性参加者の支出総額は、60万人×35%×@28400=59億6400万円
・女性参加者の支出総額は、60万人×65%×@21800=85億0200万円
合計した144億6600万円が、コミケ会場における参加者60万人の消費総額になります。


(資料)コミックマーケット35周年調査報告(参加者約4万人のアンケート集計)
http://www.comiket.co.jp/info-a/C81/C81Ctlg35AnqReprot.pdf

【会場外における参加者の消費】109.7億円
コミケ会場までのアクセスや飲食など、参加者が会場の外で行なう直接消費で、ここでは関東圏(帰宅できる人)と、地方(寝泊りが必要な人)を分けて算出しました。
上の35周年調査報告では、関東が約64%で地方が36%。参加者を60万人としたので、関東が38.4万人、地方が21.6万人で計算します。
※単価平均@については当方の独断なので、悪しからず。

ア.交通費・・・東京ビックサイトまでの往復費用で考える。
 首都圏が、38.4万人×@2500=9.6億円
 地方が、21.6万人×@3万円=64.8億円
イ.宿泊費・・・宿泊人数は地方参加者の1/2(1日のみの一般参加者や、首都圏のサークル仲間がいる場合を考慮)で計算。飲食別。
 地方、21.6万人×1/2×@7000円=7.5億円
ウ.飲食費・・・首都圏参加者は、1度外食するものとする。地方は3食を外で食べる。
 首都圏、38.4万人×1食×@1000円=3.8億円
 地方、21.6万人×3食×@1000円=6.5億円
エ.その他出費・・・アイスノンやカイロなどの季節品需要、打ち上げや、観光・みやげなど
(季節品需要)全参加者60万人×@500円=3億円
(打ち上げ)サークル参加10万人×@8000円=8億円
(おみやげ等)地方21.6万人×@3000円=6.5億円
ア〜エの合計額109.7億円が、コミケ会場外における参加者の消費総額となります。

【コミケ開催事業費】6億円+【会場内における参加者の消費】144.7億円+【会場外における参加者の消費】109.7億円を計算し・・・
260.4億円が、コミケ開催の直接経済効果(コミケ参加者による経済活動)となりました。


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<コミケ開催による間接的経済効果の試算>
間接的効果=「コミケ参加者の消費行動に直接関与しない、関連部門の経済活動」。具体的には以下の2種類を指します。

1次波及効果・・・コミケ開催の最終消費が、連鎖した中間産業の生産をも上げる。
(例えばマンガ本が最終消費なら、マンガ本を作るまでの印刷・製紙・機械・文具生産・運送などが連鎖の中間産業)という経済効果。
2次波及効果・・・コミケによる直接消費と1次波及効果により、コミケに連鎖する産業界で働く従業員の所得が増加し、それが新たな消費行動を生み出す。
この流れで起こる新たな経済需要。

これら間接効果を求めるには、総務省で発表されている「産業連関表」を使用します。
具体的には、同表の数字から各産業部門ごと“逆行列計数”を求め、最終消費の内訳数字と掛け算してやれば良いのですが・・・
個人でそこまでやるのが面倒くさいので、波及効果は概算で求めます。

日本イベント産業振興協会が発表した『イベントの経済波及効果』には、博覧会からスポーツイベントまで、各イベントの直接消費を1.0とした時の「1次波及効果の誘発係数」と「2次波及効果の誘発係数」が出ているため、この数値を使うことにしました。

(資料)イベントの経済波及効果○早川敬一(日本イベント産業振興協会)
http://eventology.org/2/2011/53-54.pdf

コミックマーケットは「同人誌の展示即売会」なので“見本市・展示会”の誘発係数から、1次波及効果だけの係数は1.73-1.00⇒「0.73」、2次波及効果だけの係数は2.20-1.73⇒「0.47」と判明。これに直接消費(直接経済効果)の金額を掛け合わせます。

【1次波及効果】係数0.73×直接消費260.4億円=190.1億円
【2次波及効果】係数0.47×直接消費260.4億円=122.4億円


この2つを合計した312.5億円が、コミケ開催における間接的経済効果(コミケ参加者以外による経済活動)となりました。


<コミケ開催による総合経済効果>
ここまでくれば、あとは直接経済効果と間接経済効果を足すだけです。
【直接経済効果】260.4億円+【間接的経済効果】312.5億円=572.9億円。

以上により、1回のコミケ開催(3日間、60万人)が日本経済全体に与える経済効果は「572.9億円」と分かりました!

開催が夏・冬ありますから、コミケだけで年間1100億円を超える経済効果ということになりますね。


いかがでしょうか・・・お盆休みの余暇があったので、自分なりに本気を出して(資料を基に)コミケの経済効果を試算してみました。

試算に当たっては『コミックマーケット35周年調査報告』に大変お世話になりました。これがネット上に公開されていなかったら、多分ここまでの計算は出来なかったろうと思います。
(ただ、コミケの収支報告はある程度「明確なもの」を出してくれないと困りますねェ)

コミケ1回で経済効果572億円というのは、皆さんの予想以上だったのでは?


【補足】
※あくまで、当ブログ管理人ちゅーりっぷ個人による経済試算です。算定方法に誤りはないと思いますが、公的機関や法人等の審査を経た試算結果ではありません。

※コミケの開催事業費については、念のため準備会の3大収入を計算して公式回答の裏づけを取っています。以下計算。

・サークル参加費:3億3500万(当選35000サークル×参加費用@8500円+落選35000サークル×参加申し込み書類@1000円)
・カタログ売上げ:2億6400万(発行部数11万部×定価@2400円)
・企業ブース出展料:6300万(通常ブース150×@40万+ミニブース20×@15万円)
これらを合計すると、準備会の収入はこの3本柱で6億6200万円と考えられます。
コミケ開催に含まない「別途諸経費」が10〜15%あると考えられるため・・・コミケ事業費を6億円とすれば、別途経費を含めた準備会の総支出は約6億6000万〜7億ほど。

収支報告が無いので実に乱暴な算定ですが、準備会の3大収入がそのままコミケ開催に使われて、“少々の赤字”収支になると考えられます。これにより一応の裏付けが取れたため、公式回答の「6億円」をコミケの開催事業費としました。





 
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イベントの経済波及効果
posted by ちゅーりっぷ at 09:57| Comment(2) | TrackBack(0) | 色々なマネーの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
試算不可能なものですけど

コミケの同人によってある作品を知り、それによってその同人の元になった作品が潤うという事もあるので潜在的な経済効果はソレ以上なのではないかとおもったり・・。

※例えば自分は某ネットゲームの同人をきっかけにそのゲームをはじめて、すでに10万以上おとしているお客さんになりました。
Posted by こういうのは at 2013年08月13日 22:14
いや、試算するだけなら可能。

不可能なのは本当にこれだけの経済効果があったのか検算、確認すること。
Posted by ちゃーす at 2013年08月16日 11:38
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