2017年05月04日

「のれん代」とは、どんなお金のこと?「のれん代」が巨額損失になる理由は?

2017年の決算シーズン。東芝と日本郵政が、海外企業買収に伴う「のれん代」に関して、いずれも数千億円規模の巨額損失処理を行ないました。

(東芝は米ウエスチングハウス関連で▲約7000億円、日本郵政は豪トール関連で▲約4000億円の減損処理)

これら巨額損失の原因となった「のれん代」とは、どんなお金のことなのでしょうか?


金融情報サイトのiFinanceでは、「のれん代」について以下のように書かれています。

「のれん代は、企業の合併や買収、営業の譲り受けの時に限って資産に計上されるもので、企業の資産の中の「のれん(会社法施行前に営業権と呼ばれていた項目)」のことをいいます。これは、企業を買収する際の買収価格と時価で評価した相手企業の純資産額との差額であり、企業のブランド力や技術力、顧客リストや顧客との関係、人材など決算書には計上されない企業の力量を示すものです。
また、元々は、貸借対照表では評価できていなかったものであり、買収した際のシナジー効果などの価値を表しています。」

(引用元)のれん代とは|金融経済用語集 【iFinance】
http://www.ifinance.ne.jp/glossary/account/acc140.html


イメージしやすい例を挙げて説明しましょう。

ある大企業Aが、優れた技術&ノウハウを持っている中小企業B社を丸ごと買いたいとします。
・B社の資本金・利益剰余金といった純資産は合計5億円でした。
・優れた加工技術があるB社の業績は、年間純利益2億円です。

何となく分かると思いますが、純資産の金額(5億円)だけでB社を買収できるものではありません。

もしも買収できたら、大企業Aには毎年2億円の利益プラスとB社の優れた技術&ノウハウがもたらされるわけなので・・・
将来的な利益を考慮に入れ、B社の持つ“技術力&ノウハウ”の価値を上乗せ評価してあげる必要があります。

・そこで大企業Aは、B社が持っている技術力&ノウハウの価値を30億円相当と評価。純資産5億とあわせて「35億円」を提示して、買収は成功しました。

【買収額】(35億円)=【純資産】(5億)+【技術力&ノウハウの価値】(30億円)

この時、大企業Aが上乗せした、B社が持つ“技術力&ノウハウ”の評価額が「のれん代」です。

実際は、技術力&ノウハウだけでなく、会社の知名度・商品ブランド・信用力(≒のれん)・商品開発力・営業力量・経営水準なども全て評価に含まれるので・・・
「のれん代」=その企業が有する魅力を金額にしたもの、会社の人材などを含めた「ソフトウエア部分の評価額」という解釈のほうが正しいでしょう。

※数式上では、【企業買収額】-【相手の純資産】=【のれん代】となります。


ところで大企業Aは、B社を買うことにメリットがある(買収で大きな利益を見込める)と考えて交渉します。

そのため、どうしても対象先をひいき目の主観で見る傾向があり・・・相手企業の「のれん代(ソフトウエア評価)」を高く算定しがちです。

(もちろん中立視点を入れるべく企業評価はM&Aの専門家に依頼しますが、買収合併によるシナジー効果などを大きく考えがち)

また、企業買収の効果を考える際は、少なくとも15〜25年超の長期スパンになりますので、どうしても「のれん代」は高額になりやすいわけです。


一方で、買収後の企業業績が実際どうなるかは、神のみぞ知るところです。

のれん代30億円で決着した先の例ですが、B社買収が本当に将来30億円の利益を生み出すかは、誰にも分かりません。

もしかしたら買収反対のB社従業員が次々と辞めて・・・技術もノウハウも無くなり、全く利益の出ない会社になってしまうかもしれません。
(A社は百年経っても、元を取ることなんて不可能!)

逆に買収合併でB社が急成長を遂げ・・・いきなり年間10億の利益を生みだす会社になるかもしれません。
(A社はたった3年で元が取れて、4年目以降は丸儲け!)

残念に終わった前者のケースでは、買収した当時ののれん代(30億円)について、ソフトウエア面の評価が大きすぎたと“巨額マイナス覚悟の会計処理”を行なうことになるわけです。


企業買収におけるソフトウェア部分の金額「のれん代」は長期スパンでの評価額であり、買収する側の主観評価も加わって、たいていは高額になります。

とはいえ、買収後の業績が実際どうなるかは誰にも分からないので・・・
「のれん代」はしばしば巨額損失の引き金となるのです。



【備考】
累積赤字・業績不振の企業をあえて買収するような場合は、買収額が純資産よりも安くなって、「のれん代」がマイナスという場合もあります。

(この場合は「負ののれん代」などと呼ばれます)


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 参考記事はコチラ。
posted by ちゅーりっぷ at 10:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 色々なマネーの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする